G・ポンティのサイドチェア「スーパーレジェーラ」
Eanest Race
1950
042 20世紀を代表する建築家、デザイナーとして名高いイタリアのジオ・ポンティ(1891〜1979)は、1918年から1921年、ミラノ工科大学で学び、建築事務所で最初の共同製作を行った。彼の活動範囲は次第に広くなっていき、1928年に建築デザイン誌『ドムス』を創刊する。また、デザインの対象は家具や陶磁器、ファブリック、寄せ木細工、照明器具、テーブルウェア、ドアノブ、サニタリー用品から車のボディにまで及んだ。1948年から1949年に彼がデザインしたパボー二社の業務用エスプレッソマシンは、当時アメリカで流行していた流線型デザインの影響を強く受けている。ポンティのデザインはモダンだが、ファシズム初期の折衷主義など伝統的主題やイメージを取り入れていた。彼は結局、新古典主義から離れるが、伝統的フォルムを再解釈することへのこだわりが、地方の古典的家具様式であるキアバリチェア風のデザインを基にした、「スーパーレジェーラ」に結実している。薄い三角柱の部材に丸みをつける場合など、微妙な細部を作り込むには、繊密な手作業と高い工業技術が必要であった。「カッシーナの工場に行くと、椅子が宙を舞い、床に落ちて、それでも壊れないのを見て驚くだろう……。飛んでくる椅子を始終よけなければならない」とポンティは『ドムス』(1952年3月号)に書いている。

【素材】トネリコ材または着色のクルミ材、織り上げたファイバー

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス