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T・サルパネヴァのデカンタ「i401」
Timo Sarpaneva
1955 |
フィンランドのデザイナー、ティモ・サルパネヴァ(1926〜)は、陶磁器、テキスタイル、金属細工など様々な分野に進出した。彼はヘルシンキでグラフィックアートを学んだ後、1950年にイッタラ社の専属アーティスト兼展示企画部長となる。1950年代半ば、彼は実用的な家庭用ガラス器コレクション(写真)を発表する。このシリーズのために彼は小文字の「i」を円形で囲んだシンボルマークをデザインしたが、それは結局、イッタラ社の企業ロゴに採用された。「i」シリーズのデカンタは、背の高い細身の器から背の低い丸みを帯びた器、注ぎ口の小さい器まで様々な形状のものがあり、色もグリーン、ライトブルー、ライラック、ライトグレーなどを揃えていた。他の食器との調和を考えたグラスセットは、飲み口部分を極薄にして口当たりを良くしている。また、デカンタに取っ手がついていないのは当時のスカンジナビア食器の特徴である。気品のある「i」の形は、1950年代の典型的なスカンジナビア・モダニズム表現の特徴を抑えたものになっている。1962年、自分の工房を持ったサルパネヴァは、エンスト社内けのプラスチック製品やアメリカのコーニング社、イタリアのベニーニ社のガラス製品をデザインした。彼は技術革新と新しいフォルムを創り出すために、クライアントの工場まで出向き、職人の技術を学んで作業工程の習熟に努めた。
【素材】ガラス
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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