H・グゲロットとD・ラムス共作のラジオ付レコードプレーヤー
「フォノスーパーSK4」
Hans Gugelot/Dieter Rams
1956
042 建築家で工業デザイナーのオランダ系スイス人、ハンス・グーゲロット(1920〜65)はスイスで建築を学んだ。1946年から1954年、彼はホルゲン・グラルスの依頼を受け、マックス・ビルと共同で最初の家具をデザイン。当時、ウルム造形大学で工業デザイン部の主任をしていた彼は、製品は外観や装飾よりも機能性が重要だという信念を持っていた。生徒の1人だったディーター・ラムス(1932〜)は後に、グーゲロットと共同でブラウン社内けにデザインするようになる。グーゲロットは若くして世を去るまでブラウン社の製品デザインをした。1921年、フランクフルトに設立されたブラウン社は、当初、産業機器や科学機器の製造メーカーであったが、後にラジオやレコードプレーヤー部品の生産も始め、1929年からは製品全体を手がけるようになっていた。1936年、M・ヴラウンは電池式ポータブルラジオを初めて生産。1951年に創設者の息子アートゥアとエルビンが同社の経営を引き継ぐと、新しいデザインによる製品計画に乗り出した。当初はアートゥア・ブラウンとフリッツ・アイヒラーが製品デザインを行っていたが、アイヒラーは次第にウルム造形大学の学生、教員らにデザインを依頼するようになっていった。1955年、同社は6ヶ月でラジオの生産ラインを改変し、新しいアプローチでデザインされた「フォノスーパーSK4」を世に送り出した。金属製正面部の音大の形状はよく考えられ、厳密な幾何学模様となっている。また、エレガントな外観が特徴で、装飾を排した白い箱のイメージから「白雪姫の棺」というニックネームで呼ばれている。

【素材】木材、金属部品、プレキシガラス

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス