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A・ヤコブセンのクラブチェア「エッグ」
Arne Jacobsen
1958 |
ケイ・フィスカーの下で建築家としての経験を積んだアルネ・ヤコブセン(190271)は完全主義のデザイナーであった。1958年から1960年、彼はコペンハーゲン・ロイヤルホテルを、F・L・ライト(p.22参照)やホフマン(p.28参照)たちがうち立てた伝統を継承しつつ、全館を設計した。これを見ると、第二次世界大戦後において、全体芸術の考え方を純粋な形で表現できたのはヤコブセンだけかもしれないと思えてくる。彼は、ロイヤルホテルのために、家具や照明器具、ファブリック、ガラス製品、テーブルウェアからドアノブまでもデザインしている。この時、有名な椅子「エッグ」(写真)と「スワン」も公開された。1950年代半ば、デンマークの家具メーカー、フリッツ・ハンセン社が椅子のシェル部分を一体成型できる新技術の使用権を買い取った。ヤコブセンはまず、ガレージを改造したスタジオで石膏のプロトタイプを作り、それから、新技術を用いて製作を開始。「エッグ」のコンセプト通り、伝統的なウィングチェアのアーム部分と本体を完全に一体化させることに成功した。「スワン」と「エッグ」は新技術と美学が見事に合体した作品となっている。
【素材】グラスファイバー、発泡ラバー、布地、アルミニウム、ポリ塩化ビニール
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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