H・レリヒトのテーブルウェア「TC100」
Hans Roericht
1959
042 1950年代後半、ハンス・レリピト(1933〜)はドイツのウルム造形大学に学んだ。同校やアメリカでしばらく教鞭をとった後、1968年にデザインスタジオを設立した。彼はシステム環境設計を専門とし、ルフトハンザ社のためにインテリア7サインや家具、グラフィックをデザインし、また、1972年のミュンヘンオリンピックスタジアムのシートとデスクのシステム設計も行っている。テーブルウェアのデザインを依頼された時、彼は新しいデザインの必要性について思案を重ねた。なぜなら、テーブルウェアはすでに卒業製作で手がけていたからである。システム設計(p.136参照)の利点を信奉するハンス・グゲロットらウルム造形大学教授陣の助言を受けたレリヒトは、新しいテーブルウェアを、各要素と付属機能をバランスよく統一させ、そのシステム開発に重点を置いた。カップは円筒を基本形とし、底径は上部径よりも小さくすることで、他のテーブルウェアと同様、スタッキングを可能とした。ピッチャーは幾何学的デザインから外れた形だが、直線の堅さは和らいでいる。白い紬薬を使い、高密度で重みのある「TC100」は、現在、オリジナルデザインのまま生産されている。




【素材】光沢のある白磁器

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス