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V・パントンのスタッキンヴチェア
Panton Verner
1960 |
ヴァーナー・パントン(1926-1998)は1940年代半ばにデンマークのオーゼンセで建築を修得した後、1951年までコペンハーゲン王立美術アカデミーで学んだ。その後彼は広く旅し、コペンハーゲンに建築設計事務所を構える。1950年代後半には、20世紀に入って長い間研究されてきた組立不要の一体型椅子(p.142参照)の設計プロジェクトに参加、航空機業界で開発されたプラスチック加工技術を用いて実験製作を開始した。そして1960年、彼はポリウレタンフォームの椅子の製造に成功する。しかし、同一製品を作ることが技術的に難しい上に、世間のプラスチック家具への関心度は低く、また、金型やプレス機の設置に巨額の費用がかかるため、大量生産には至らなかった。その後、パントンとヴィトラ社のプラスチック成型の専門家、マンフレッド・ディーホルドはさらなる研究を重ね、1963年、パントンの石膏モデルを原型とした、ファイバーグラスとポリエステルを用いた製品の大量生産技術の開発に成功する。世界初の、連続成型が可能な一体型椅子の誕生である。1967年に大量生産が開始された時の素材は硬化ポリウレタンフォーム(ベイデュー)に変わり、樹脂塗装が施された。1970年さらに改良が加えられ、素材はノンファイバーグラスープラスチック(ルランS)となった。現在、この椅子は一体構造に適したPURを素材に使用している。その滑らかで光沢のある流線形のボディは自動車のフェンダーを想起させる。
【素材】熱可塑性「ルーランS」
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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