H・グゲロット、D・ラムス、G・A・ミューラー共作の
電気カミソリ「ジクスタント」
Hans Gugelot/Dieter Rams/Gerd Alfred Muller
1962
042 J・シックが1931年、アメリカで世界初の男性用電気カミソリを発売すると、1936年までに売上製は100万台を突破した。1941年、R・ローウィ(p.80参照)のデザインしたシック社の電気カミソリは、当時としては破格の15ドルという高さだった。1938年、ブラウン社(p.124参照)はシンプルなボディで往復可動式の充電可能な電気カミソリを開発する。戦時中は生産が許されなかったため、1950年になってから「S50」型として発売されたが、デザインはすでに時代遅れになっていた。1954年までにブラウン社は洗練されたボディデザインを採用する一方、アメリカのロンソン社に技術ライセンスを供与し、欧米両市場への投資に力を入れたものの、ロンソン社のデザインレベルはブラウン社よりはるかに劣っていた。1951年、創始者マックス・ブラウンが死去し、子供たちの新経営体制に移行すると、同社は新たな製品デザイン計画、企業イメージ統合戦略を練り始める(p.124参照)。やがて、嘱託デザイナーの1人、ハンス・グゲロット(1920-65)が黒と白だけの清楚なデザインを同社にもたらす。電気カミソリ「ジクスタント」のヘッド部分の薄い金属は新製法で加工された。彼は、製品のパーツはより大きな全体を構成する部品の一部であり、互いに密接な関係がある、というシステム設計の原則に基づいて厳密なデザインを行った。ディーター・ラムス(1932〜)、ケルト・アルフレート・ミュラー(1932〜)と共同でデザインされた写真の電気カミソリは、四半世紀たった今でも端々しさを保っている。

【素材】プラスチック、スチール

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス