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O・ベックストロムの「O・シリーズ」のはさみ
Olaf Bakstrom
1963 |
ウーラフ・ベックストロム(1922〜)は技術者として10年間働いた後、1954年、木彫刻家に転向した。彼は彫刻の専門教育は受けていないが、彼の熟練した技術に裏打ちされた素晴らしい木製の家庭用品は、1957年、ミラノ・トリエンナーレで銀メダルを受賞する。1958年からはヘルシンキのフィスカーズ社の工業デザイナーとなり、プラスチック製テーブルウェア部門を担当した。そして1960年のトリエンナーレで、彼のキャンプ用食器は、またもや銀メダルを獲得する。ペックストロムの隅々にまで神経の行き届いたデザインを見ると、専門教育を受けた人間の作品としか思えないが、彼の名前より、オレンジ色の柄を持つはさみと、大ばさみ「0・シリーズ」の方が世界的に有名となった。彼はまず、木でプロトタイプを製作した。これは彼の木へのこだわりを考えれば理解できる。人間工学に基づく真録柄のはさみは、長い間仕立て屋に愛用された。これらのプロトタイプは1960年から1961年に製作され、柄は青色(写真参照)であった。製作費の高い刃の部分は、新技術で製作され、さらにコストを抑えるため変更が加えられた。最終モデルは1967年に完成し、青い柄は1960年代後半流行のオレンジ色に変えられた。.しかし、不運にも作者不明の粗悪なコピー品の方が大当たりした。傑出した作品を残し、ペックストロムは1980年にフィスカーズ社を去った。
【素材】ABS樹脂、スチール。写真は1960〜61年の製品。
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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