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M・ザヌーゾとR・サッパー共作のラジオ「Ts502」
Marco Zanuso/Richard Sapper
1964 |
1930年代後半、マルコ・ザヌーゾ(1916〜)は、後に教鞭をとり、建築学科の学部長となるミラノ工科大学で建築学を学んだ。終戦時に独立すると、雑誌『ドムス』『カサベラ』の編集長を務め、建築やデザイン様式に関する著名な解説者となった。1951年に発表された「レディ」チェアは、伝統的な椅子の構造を変えてしまう発泡体を使った、彼の開拓精神溢れる作品の1つとなった。今日、流線型デザインが可能となったのは、ピレリ社が開発した同素材に依るところが大きい。イタリアでは他に例のなかった、ザヌーゾの技術的な合理性を追求した椅子は、カルテル社(p.142参照)とブリオンヴェーガ社によって商品化された。彼のデザインに対し最も積極的だったのは、オーディオ・ビジュアル機器メーカー、ブリオンヴェーガ社で、1958年から1977年の間、ザヌーゾとリチャード・サッパーとの共作デザインを数多く製品化している。彼らが1969年に発表したテレビ・セット「ブラック・ボックス」(いわゆる「ブラック201」)やラジオ「Ts502」などは、1970年代のイタリアで熱狂的な支持を得た。小型ラジオ「Ts502」は、閉じたままでは用途不明なものに見えるが、開くと一方がスピーカー、もう一方がメカニカルな調整部に分かれ、取っ手と自動車風のアンテナは上に伸ばすことができた。電子機器を収納した部分に荷重がかかるため、取っ手は中心部ではなく、ややずらした位置に取り付けられている。
【素材】ケースはダイキャスト合金に塗装。内側の計器盤はザマ・プラスチッ ク
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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