C・ジョエ・コロンボのスタッキングチェア「4867」
Ceare Joe Colombo
1965
042  チェザーレ・ジョエーコロンボ(1930〜71)は1940年代後半に美術を学んだ後、ミラノ工科大学に進んだ。1950年代初頭、主にアルテ・ポヴェッラ派のアバンギャルド画家・彫刻家として活躍し、50年代半ばにはデザイン・建築に関心を向け、1962年、デザイン事務所を構えた。彼はデザイン活動を開始して10年も経たないうちに41歳で他界したが、家具や陶器、照明器具、電気器具など、多くの作品を残している。キャンディ、ベルリーニ、スティルノーヴォ、オ・ルーチェの各社がクライアントとしてあった。  1950年から1960年代にかけて、コロンボは、カルテル社創業者ジュリオ・カステッリから、同社の特許プラスチックを使った機能的製品デザインを委託された。カステッリの努力で、当時、プラスチック製品は家庭での市民権を得つつあった。  カルテル社内けにデザインされたABS樹脂製「4867」スタッキング・チェアは、新技術による試作と1世紀に及ぶ一体型椅子研究の結集である。イタリア内外で同時に製作された、他の一体成型作品(p.132参照)とは対照的に、元来アルミニウムメーカー向けにデザインされたコロンボ・チェアは、世界で初めて単一素材から鋳型成型される椅子となるはずだった。しかし、製造プロセスでの問題を解決することができず、商業生産が開始されたのは1967年になってからである。結局、脚部と本体は別々に製造され、座部から背部にかけては、鋳型から引き抜く時に必要だったため穴が開けられている。  ちなみに、「4867」の元の名称は「ウニヴェルサーレ(万能)」であった。


【素材】 1967年後半からABS樹脂。1976年からポリプロピレン。

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス