P・ガッティ、C・パオリーニ、F・テオドッロ共作の「サッコ」
Piero Gatti/Cesare Paolini/Franco Teodoro
1968
042  1960年代後半の欧米に蔓延した学生たちの不安や抵抗は、特に、硬直化し、退廃した政治機構や方策に対して向けられた。こうした若者を中心とした反正統派の動きは、イタリアの家具やインテリア用品のデザインにも反映される。  1965年、ピエロ・ガッティ(1940〜)とチェーザレ・パオリーニ(1937〜)、フランコ・テオドッロ(1939〜)のデザインチームがツーリンにデザイン事務所を開設する。彼らは、どうすれば自分たちが「人間的な」作品、即ち、伝統的な家具やインテリア用品に求められてきた心地良さを保ちつつ、変貌を統ける若者文化の気まぐれで感覚的な興味をも満たす作品を作れるかを探求し始めた。  一説では、デザイン事務所で椅子代わりに使われていたプラスチック専用のごみ袋が、「サッコ」のコンセプトを生み出したという。彼らの言葉を借りれば、「どこでも、誰にでも使え、どんなに不安定な場所でも安定する」低コストの万能椅子が完成した。中の素材は一見、デザイン事務所から出るプラスチック屑に似ているが、実際には1,200万個のポリウレタンのペレットが使われており、形を自由に変えることができる。   1960年代後半、イタリアの家具メーカー、ザノッタ社は、最新技術や高価な機械を必要とせず、また、売れるかどうかはともかく、新しい考えを取り入れた椅子ばかりを作り統けた。  


【素材】 皮革、布地またはテラアィッタ(ポリ塩化ビニールで被覆した布地)、泡状に膨らませたポリスチレン

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス