倉俣史郎の「変型の家具SIDE2」
Shiro Kuramata
1970
042 倉俣史郎(1934〜91)は建築を学んだ後、家具の製作を開始。彼は衣服デザイナー、三宅一生のショップのインテリアデザインを手がけた人物である。だが、作品は1万ドルする写真のチェストに代表されるように高価で、また置く場所を選ぶものが多いため、彼の名は一般的にはあまり知られていない。このチェストは、倉俣が好きだったという「たくさんのオモチャやコマ、色付きのカードの入っているあらゆるごちゃ混せの引き出し」のイメージを具現化した作品で、他の作品と同様、いわゆる引き出しとしての機能を持っているように見えるが、収納性を考えて作られたものではないと思われる。別のチェスト作品「変型の家具SIDE1」は、横にではなく前後にうねらせた作品である。椅子、テーブル、他の多くのチェストに見られるように、倉俣は引き出しのあらゆる可能性を追求した。彼の作品は、東洋と西洋の双方に根ざしているところに、そのユニークさの根源がある。活動拠点は故郷の日本であったが、エットレ・ソットサスとミラノで共同製作するなど世界中で活動し、他のデザイナーたちに多大な影響を与えた。倉俣は多彩な作品を残し、1991年、57歳で他した。


【素材】ラッカー塗装の板材

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス