A・チッテリオとG・O・ルー共作の「モービル」
Antonio Citteriom/G. Oliver Low
1994

042  イタリア、ミラノ工科大学に学んだ建築デザイナー、アントニオ・チッテリオ(1950〜)は、卒業した1967年には工業デザインの道に入り、1972年にパオロ・ナーヴァとスタジオを設立、1981年まで共同制作を行った。デザイナーとして多忙なチッテリオは、アメリカ人の妻、テリー・ドュワン(1957〜)とは頻繁に、G・オリバー・ルーとは時折共同製作をしている。  イタリアの著名なプラスチック製の家具を扱う、カルテル社(p.142参照)は、彼の様々な分野のクライアントの1つである。チッテリオはこのカルテル社内けのキャビネットに、同社が通常使用しているものとは異なるプラスチックを使用した。ABS樹脂が不透明のくすんだ色の素材であるのに対して、彼はこれ以外の色を出せる半透明の高性能熱可塑性テクノポリマーを使用し、擦過傷を付きにくくさせた。1970年代には、プラスチックのカラーバリエーションは増えたが全般に好ましい色とは言い難かった。一方、チッテリオのキャビネットのテクノポリマーの色使いは、4種類の色すべてが刺激的であるにもかかわらず魅力的で、いつまでも飽きさせない。  「モービル」のアルミフレームは堅牢で、固い金属と軽快な合成素材の対比が好事しい。チッテリオの作品は、風変わりだが、不快感を感じさせない。「モービル」の成功により、安価なコピー商品が多量に産み出された。


【素材】 4色は、高性能勢可塑性テクノポリマー、くすんだ色はABS樹脂、クロムメッキまたは彩色アルルミニウム

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス