T・ディクソンの照明・テーブル・スツール兼用の「ジャック」ランプ
Tom Dixon
1996

042 チュニジア生まれのトム・ディクソン(1959〜)は1978年までロンドンのチェルシー美術学校で学び、彫刻家として活動を開始。そして1983年に初めて依頼されたインテリアデザインの仕事をした翌年、金属廃材を溶接するパフォーマンスアートの舞台に登場した。一時、鍛鉄を使った家具や備え付けの家具専門のデザイナーアンドレ・デュブルイユと共同製作をした彼は、1986年から1987年には、スチール製家具やユニークな作品を製作。1987年にスタジオ「ディクソンPID」を設立する一方で、他者との共同製作も引き続き行っていた。1988年の作品「S」チェアは、オリジナルでは、細長いゴムがスチールパイプのフレームに巻きつけられていたが、カッペリーニ社が製品化したものでは、ゴムをイグサに代えている。ディクソンも他のイギリス人デザイナーと同様、最先端デザインに興味を示す、センスのある家具メーカーを国外、特にイタリアに求めていた。1996年、ロンドンのユーロラウンジ社が写真の「ジャック」ランプの製品化を引き受けてくれることになった。熱形成プラスチック製ランプの規則的な突起が、床や机の上においたり、天井から吊り下げるなど、様々な場所への設置を可能にしている。ランプ上部の突起に台を置けば、照明付きスツールやテーブルにもなり、ディクソンが追求した用途の多目的性を実現している。ポリエチレン素材の着色が家具メーカーの手で実用化されたのはこのランプが初めてだった。


【素材】熱形成ポリエチレン
 

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス