J・アイヴとアップルインダストリアルデザイングループによるコンピュータ「iMac」
Jonathan Ive/Apple Industrial Design Group
1998
アップルコンピューター「iMac」のキャビネトは、1996年以来アップル社のチーフデザイナーを勤めるジョナサン・アイヴ(1967〜)の主導で製作された。彼はイギリスで工業デザインを学び、1990年ロンドンにデザインスタジオ「タンジェリン」を共同創設、そのときアップル社からの誘いを受けた。アップル社で最初にデザインしたのは1992年の「ニュートン・メッセージパッド110」であった。その後1993年から1996年の「20周年記念マッキントシュ(コードネーム:スパルタカス)」など様々な機種のデザインに関わる。アップル社に復帰して救世主となった、S・ジョブズよりも低いポジションで、彼は、アップル社の次世代製品は「求心力をもたない多数集団よりも、個人をターゲットにするべきであり、それは従来当社が市場に出した中で最も刺激的で重要な製品になるだろう」と断言した。その公約が「iMac」に実現した。そのボディとキーボード、ピルボックス型マウスのデザインが統一され、家庭とワールド・ワイド・ヴェブを直結させるインターネット環境をもった「iMac]は、分刻みの熱い注目を浴びた。半透明のキャビネットは、パワフルな内部構造をぼんやりと覗かせた。マウスでさえその構造を見ることが出来た。ページュ色の従来型コンピューターの本体後部で絡み合っていたコード類は姿を消した。「iMac」は、ジョブズのコンピュータ第1号である1975年の「アップル泪、1987年のへルルムート・エスレンガーの「アップルSE」(p188参照)の伝統的なスタイルと懸け離れたものになっている。ブリッケンスデルファーが1901年に製作した初の電動タイプライターは、1世紀後、奇跡的に小さな「青い卵」に生まれ変わった。
【素材】プラスチック、金属部品、ガラス、ハローグラビア印刷
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス