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卒業生も携わる上野毛キャンパス新棟建設


創立90周年を迎え、未来志向の創造拠点へ

多摩美術大学は2025年に創立90周年を迎え、開学以来の地である上野毛キャンパスに新棟を建設しています。竣工は2026年4月を予定しており、美と知を集積し、アートやデザインのこれまでとこれからを見据えた新たな創造の場が開かれようとしています。


建設が進む上野毛キャンパス新棟。(2025年12月6日撮影)

上野毛新棟建設では、卒業生たちが専門技術を生かし、母校の新しい学びの場づくりに携わっています。その一例が、壁画や特殊塗装、和紙の染色加工など幅広く空間演出を手がけるオーエヌオー株式会社です。代表取締役の宮脇昌岐さん(1993年大学院日本画修了)、新棟建設現場のチーフ眞田勇さん(2010年大学院油画修了)をはじめ、社員の多くが本学の出身者で、現在は6名が現場に関わり、創造の力が生かされています。

特殊塗装とは、建物の壁や天井に質感や模様を施し、空間に独自の表情を与える技術です。ホテルや商業施設、マンションのエントランスなど、上質感や洗練された雰囲気を求められる場面で生かされ、豊かな表情を持つ空間を創り出しています。特殊塗装の技術を用いてテクスチャー(建築設計における材質表面の質感、感触、外観)を施す作業や壁画制作では「絵がどのくらい描けるか」という素養も重要であり、美術大学での学びが直接生きる場面も多いといいます。

同社をはじめ、本学の卒業生は建築における設計やインテリアなどさまざまな分野でも活躍しており、専門性を生かした取り組みが社会の多様な場面へと広がっています。

(写真左から)オーエヌオー株式会社代表取締役 宮脇昌岐さん、眞田勇さん(現場チーフ)

学びが生きる技術と作業の積み重ね──母校に戻る喜びと後輩への思い

現場で特殊塗装を担う卒業生に話を伺いました。
宮脇さんは「上野毛新棟建設の現場において、特殊塗装を担う企業としてオーエヌオー株式会社が選ばれました。専門的な技術を持つ当社が起用されたことをうれしく思いますし、上野毛で学んでいたこともあり現場には懐かしさを感じました」と語ります。また学生時代の制作活動を振り返り「大学では人の目に触れ、評価を受けたり、共同作業をしたりと、技術やマインドが磨かれます。それが社会に出てから役に立つと思います」とも述べました。さらに、宮脇さん自身も学生時代のオーエヌオー株式会社でのアルバイト経験を通じて「この仕事を通じて社会と接していけるのがいい」と感じたことが、現在につながっていると振り返ります。

眞田さんも「学生時代の制作同様、この仕事はコツコツと作業を続けることが必要です。現場によっては壁画制作もあり、多摩美での絵画制作と同じように絵具や筆を使う場面もあります」と語り、多摩美での学びが現在の仕事に結びついていると語ります。

さらに宮脇さんは「未来の後輩たちがこの建物を使う姿を想像すると、多摩美の卒業生が携わって創られたものだと少しでも感じてもらえればうれしいです」と話しました。

未来に向けた創造拠点として

創立90年の積み重ねを礎に、新棟は未来に向けた創造の拠点として開かれます。卒業生が母校に戻り、技術と人の力を結集して築かれるこの場は、次代の教育と研究を支える新しい環境として発展していきます。

壁面に質感を生み出す特殊塗装の作業風景。