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新刊『砂漠芸術論 環境と創造を巡る芸術人類学的論考』佐々木成明 著


『砂漠芸術論 環境と創造を巡る芸術人類学的論考』

メディア芸術・佐々木成明准教授 著

彩流社|2018年10月19日刊|3,200円+税

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すべての諸元的人類の文明が成立した砂漠地帯で、ユダヤ、キリスト、イスラームなどの一神教の宗教が始まりました。
キリスト教の神話を秘めた中東は常に欧州文化の根底に潜んでいて、十字軍、ルネサンス、さらに18世紀ロマン主義におけるオリエンタリストたちや、シュルレアリズムのダリの絵画など、多くの芸術に影響を与えました。
60年代ランドアートや、アメリカで成立したグループf/64や、ニューカラー(ネオ・ルミニズム)の写真にも、砂漠の大地とその澄んだ光が関係しています。
映画史全体にに大きな影響を与えた西部劇は、広大な砂漠地帯を抱えているアメリカならではの環境と西部開拓の歴史なしには成立しませんでした。
多くのデスフューチャー映画の背景に使われたのも砂漠の風景でした。スターウォーズも、ヴィム・ベンダースやニコラス・ローグのロードムービーも、ミイラの映画も、すべて砂漠の映画です。
日本から最も遠い風土と思われる砂漠ですが、『砂の女』を書いた安部公房や『風の谷のナウシカ』を描いた宮崎駿も、砂漠に魅了された小説家であり映画作家でした。枯山水の庭や、神社の砂利轢きも砂漠を想像させます。
和辻哲郎の風土論を根底に踏まえ、砂漠という創造的環境によって、我々人類がどのように芸術を創造してきたのか、本書では砂漠の風土環境と芸術の関連性を多面的に考察しています。

佐々木成明