Interactive Photo Book(見ることの共有に関する研究)

KIM Ho Jung

作者によるコメント

人達の目線を追うインタラクティブ写真集です。他人の目線で、その人が何を見て何を思っていたのかを想像しながら、その人の立場でモノゴトを考えようとした作品です。また、「見るということ」を深く意識しながら制作を進めました。写真集の始まりは「私の目線」で撮影された一枚の写真です。読者はその写真に映っている人々をタップすることができ、タップすると、その人の目線に入り、その人目線の方向の風景を見ることができます。

担当教員によるコメント

写真は「見る」という行為からはじまる。見ることを切り取るようにしてシャッターを切る。しかし、写真に撮られる人も何かを見ているので、視線は連続していると考えることができる。ホ・ジョンは、写真に写っている人が見ている(であろう)ものを撮影してみた。目の前の花を見ている人。遠くの景色を眺めている人、子どもの目線や犬の目線。そこには思いがけないアングルや、予想もつかない情景があった。試しに映像も集めてみた。動画はそれなりに面白かったが、やはり何かが違う。見ることを切り取ることは、写真でしかできないのだ。写真の中の人の視線は、インタラクティブに編集され、連続して視線を辿ることができる電子書籍ができあがった。美しい画面からは想像できない撮影の苦労が実った。

教授・永原 康史