小關 諒人

作者によるコメント

この写真に写っているのは、水槽と、水面と、死んだ魚だけです。ある日、私が小さい頃夢中になって収集した切手の中に、魚の絵が描かれた切手を見つけました。その切手の長方形の区画は、魚を生かしておくための水槽を連想させました。そういった小さな発見を、リアリティを持たせ再現することに私は、ものを作る理由を見出しています。

担当教員によるコメント

小關君は子供の頃から切手の収集が趣味だった。集めた切手の中から魚を描いたものを見つけ、写真で撮ってみたい、と思ったのが制作のきっかけです。着手当初は、グラフィックデザインとしての「切手」に惹かれていたが、「写真作品」として着地するようアドバイスをした。すでに生命の無い魚を、水槽の中で生きているように撮ることの難しさを体験してもらいたかった。生きていることを実感するためには何が必要なのか?その上で、美しい、面白い、懐かしいなどの魅力を加えるためにはどうすればいいか。レベルの高い悩みを体験し、克服して見事な作品に到達した。結果、今までにない新しい写真表現に至った。

教授・十文字 美信