duality

泉 香葉

作者によるコメント

φ0.4、φ0.5、φ0.6、φ0.7、φ0.8のステンレス硬線をそれぞれ全て半田付けをして分子構造を模した構造体を形成した。

担当教員によるコメント

「カーボンナノチューブ」を題材としたインスタレーション作品。実際のそれは、炭素によって作られる六員環ネットワークが同軸管状になった物質で、直径は0.4〜50nm。ナノメートル単位であるため、電子顕微鏡で観察できる極小の構造体である。半導体や燃料電池といった分野での応用が期待されており、アルミ二ウムの半分の軽さで、鋼鉄の20倍の強度、特に繊維方向への引っ張り強度ではダイヤモンドをも凌駕する。ナノレベルの構造を、目に見える体感スケールに拡大することで「弱くて強い」相反する世界が立ち現れないかといった試みである。シャープペンの芯程のステンレスワイヤーをハンダ溶接した構造体は、ゆらゆらと立ち現れ、文字通り「弱くて強い」存在感を示していた。

准教授・米谷 ひろし