あの頃ファイル

筒井 由佳

作者によるコメント

小学生の“あの頃”夢中になった懐かしいもの…ふだん忘れてしまっていても、一目見ただけであの頃の記憶を思い出せてしまう印象的な7つのジャンルから各20種類ずつを厳選し、合計140種類のイラストレーションファイルを制作、展示と配布を行いました。ネガティブな印象ばかりが先行する1987年〜1996年生まれの「ゆとり世代」に向けた、人と共有することで生まれる、懐かしさの追体験ができる場と共感のデザインが私の卒業研究制作です。

担当教員によるコメント

この作品には「懐かしい感情に訴えかける共感のデザイン」という副題がついている。それを言葉で記すのは簡単であるが、作品として実現するのは難しい。なぜなら「懐かしさ」には個人差があるからである。作者の筒井由佳はそのことを十分に理解した上でこの作品に取り組んだ。自身も含む「ゆとり世代」に向けて「懐かしさ」を感じてもらうためにジャンルとアイテムを厳選し、それらの「懐かしさ」を表現する方法として手書きのイラストレーションを選んだ。筒井は一枚一枚を丁寧に描き、その数は140種類にもなった。作品を記録した映像には、同世代の友人たちが子供のように燥ぐ笑い声がたくさん記録されている。それはこの作品がまさに共感のデザインを実現した証拠でもある。

教授・宮崎 光弘