双子の星 朗読のようなタイポグラフィの表現
関川 詩乃
作者によるコメント
人が物語を読むとき、頭の中ではどのようなことが起きているのでしょうか。例えばある場面では静かにゆっくりと光が差し込み、はたまた稲妻が強烈な光を放ったり……。そんなふうに自分の脳でいかようにも想像を膨らませられるところが、読書の楽しみであると思います。この作品では、それを助けるような「新しい読書体験」を目指しました。声ひとつで表現する朗読のように、活字の造形のみを用いて想像を助けるための表現を試みたものです。
担当教員によるコメント
朗読としてのタイポグラフィ──これがこの作品のテーマである。一般的にタイポグラフィは、読んでもらうために文字列を設えることだから、「読むこと」の手前にあるものだ。しかし、朗読(=読むこと)と同時に生じるタイポグラフィは、「どのように読んだかを読む」ことになるだろう。願わくば、この作品を手に取って「読んで」ほしい。著者の言葉とともにタイポグラファ(=作者)の発語や息づかいが伝わってくるだろう。以前、作者は、子どものころに携帯小説に夢中になったと話してくれたことがある。今回の題材は宮沢賢治の『双子の星』だが、現代の詩や文学を朗読するように文字組みすればどうだろう。もっと作者=タイポグラファの息づかいが聞こえてきはしないか。興味は尽きない。
教授・永原 康史
- 作品名双子の星 朗読のようなタイポグラフィの表現
- 作家名関川 詩乃
- 作品情報本
技法・素材:紙、スタンピングリーフ
サイズ:冊子=H182×W182mm/大判=H2000×W594mm - 学科・専攻・コース
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