Street line graphics

井川 脩人

作者によるコメント

私がまちで観察した路上線を使用してグラフィックポスターを制作しました。路上線は長い月日の中で、災害や環境の変化から生じる路上の劣化などで意図しないカタチになってしまいます。その様はまちに流れる時間や、人間が生活している痕跡を感じることが出来ます。普段公的な空間の境界線でしかない路上線を視覚的に注目することで新たな価値を与えます。

担当教員によるコメント

毎日を過ごす中で受け取る情報は膨大な量である。すべてに意味を見出し、記録して解釈していたら身がもたないだろう。しかし、効率的に生きるための知恵だけを情報と呼び、何かの役に立つ設計を情報デザインと呼ぶことは寂しいことだ。作者もそう感じたのかはわからないが、作者は、ある目的のために設計することを前提として情報をフィルタリングするのではなく、そこに在るものを、自分の感性のままに採取して再構築した。このことは簡単に見えて、非常に難しい。私たちは、常に数字で評価され、少しでも法則性があればアルゴリズム化される社会に生きることになる。その中で、本作品のような野生の感性を起点とした情報処理はより希少なものになるだろう。

講師・清水 淳子