幾多の群集の
壹岐 幸人
作者によるコメント
普段の私たちの生活には認識されない違和感が存在する。
植物が多くしげる場所に存在する無機的な電柱。
頭上に張り巡らされた電線。
その隙間から覗ける雲。
無機的な構造物の効率的な動きに、生々しさを感じる有機的なものが入り乱れる視界。
私たちにとってはそんなことは当たり前な視界という空間。
違和感なはずなのに違和感とならないその空間を表現した。
担当教員によるコメント
焼成する窯のサイズに作品が規定されることを、「窯の大きさに囚われ縮こまっていくよう。」と壹岐は言う。制作の中で日々繰り返している当たり前の営みの中に、ささやかな違和感を感じている自分に気づけることは、作り手としての感性の起動であり、彼の学びが基礎から応用域に移行できた証に他ならない。焼成したパーツを組み上げて作品化することで、窯のサイズに規定されない方法論をつかんだ。同じく生活の中のささやかな違和感として「無機的な構造物の効率的な動きに、生々しさを感じる有機的なものが入り乱れる視界。」というビジョンを描いてそこに向かった。観ることを通して、何かを感じている自分に気付けたこと、それを独自の造形手法と言葉の連関で表せた彼の成長に拍手を贈りたい。
教授・尹 煕倉
- 作品名幾多の群集の
- 作家名壹岐 幸人
- 作品情報技法・素材:粘土
サイズ:H2000×W2500×D1500mm/H1500×W800×D1500mm/H1200×W800×D800mm/H1200×W800×D500mm/H500×W500×D500mm - 学科・専攻・コース
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