overlapping city

梅津 日絵

作者によるコメント

工事中の道路、高層ビル、木造の古屋、錆びた壁、ガラス張りの窓、壊れた煉瓦。
日々新しくなっていく街の中で、ぽつりと残る古い記憶。街は重なっていく。

担当教員によるコメント

様々な編み技法を駆使した梅津日絵さんの作品は、技法の匠さと表現のバランスが心地良い作品です。生まれ育った街の中にある質感をモチーフとしているのですが、風景の断片を集めたコレクションのような試作の集積から制作は始まりました。市販の糸では表現しきれない質感を表すために、糸を撚り合わせオリジナルの糸をつくるなど細部へのこだわりが完成度の高さへと繋がっています。レッグウエアとしての表現にもこだわりがあるのですが、単体での存在感があり表現のバリエーションを豊かに見せることに一役買っているのではないでしょうか。多彩なパーツで表現されたテキスタイルが集まり、過去、現代、未来へと移り行く街並みが立ち上がるかのような魅力を感じます。

准教授・辛島 綾