遠いバカンス

大谷 里奈

作者によるコメント

バカンスのようなカラフルで美しい過去を懐古する。暗闇に包まれた静かな夜の中、チカチカと点滅する街灯の灯りをぼんやりと眺めた。焦点がずれ、歪んだ視界から心の中で見えた色彩はバカンスのようにカラフルだった。過去に定住することはできないけど、不滅の出来事を思い出しカラフルだったあの頃を思い出したい。そして大切な想いを胸に大切にそっとしまって温めていこう。私の人生はこんなにも色鮮やかなんだって自分自身に証明するために。

担当教員によるコメント

プレゼンで見せてくれた大谷さんの絵は、変わった言い回しだが、自分がこれから見たい夢を描いていたかのような印象だった。「コンセプトは?」本人に聞くと、「過去の夏のバカンス」でも「バカンスなんて過ごしたこともない」と屈託なく説明していた。染織技法も多様でカラフルで眩しいほどの色使いをしている。スタジオの中でだれよりもたくさん下絵を描いていた。最後に見た作品は最初の印象とおおよそ似ているではないか!夢を描いたものが目の前にあるわけだから、夢が実現したとも言えなくもない。もしかすると、将来の自分を振り返ることを想定して、卒業制作を「バカンス」そのものに見立てたのかもしれないと思った。本人の思いが強く出ている素敵な作品である。

教授・藤原 大

  • 作品名
    遠いバカンス
  • 作家名
    大谷 里奈
  • 作品情報
    素材:綿、綿ポリエステル、ポリエステル、ウール、絹、ナイロン、染料、酸性染料、顔料、刺繍糸、銀糸、木材、ビーズ
    技法:友禅染、型染、絞り染、筆描、浸染、刺繍、シルクスクリーンプリント、熱転写プリント、オパール加工、フロッキー加工、発泡加工、ミシンステッチ、ステッチ、織
    サイズ:5体
  • 学科・専攻・コース