屋根

キョ ケイゲツ

作者によるコメント

屋根は建物に覆いかぶさる傘のような存在で、太古の昔から住人を守る家には屋根があった。外から帰ってきて家に一歩入るとほっと安らぐ。
家族、友達、趣味などは屋根のように私を守り支えてくれている。幸せな時間は屋根との関わりが深い。私を守り支えてくれるものへの感謝を込め、普段目にしているものの触ることや間近で見ることのできない屋根の風景をテキスタイルに収めた。

担当教員によるコメント

「屋根」とは建築空間をその上の外気から守るための仕切りとして作られた建築の部分である。その機能、材質、形状、デザインなどを列挙したらきりがなく、気候風土などさまざまな条件に応じた屋根が地球上に存在する。人類は昔から屋根の下で暮らすことを求めそこに心豊かで安全な生活空間を築いてきた。キョさんはそんな屋根についてのドローイングを100枚描いたことを契機に、伝統的生活文化が永遠に続くことを願い「屋根」を卒業制作のテーマに選んだ。屋根のイメージを図と地の関係や色彩の調和など美を生み出す造形原理にあてはめ、テーマばかりが主張しすぎない多義的で優れたプリントデザインの連作を完成させた。なににせよ4年間で修得したシルクスクリーンの技術は秀逸である。

教授・柏木 弘