「☆¿※◉♯」が私を擬物化すると , (読み:なんちゃらかんちゃらがわたしをぎぶつかすると)

古山 寧々

作者によるコメント

私が「パソコン」と関わるとき、私は指でキーボードに触れる。
このとき「パソコン」からすれば、私という人間は指だけの存在となるのだろうか。
私は自分の部屋にある「モノ」が「私」を擬物化するとどうなるのかを考えてみた。
擬物化というのは、擬人化の逆、つまり人間を非人間基準で見立てることである。
「擬物化された私」は「私」という人間ではあるものの、人間とはまるで異なる姿・動きをするヘンテコな存在に見える。
ある「モノ」にとっての「私」がどのような表象として捉えられていると想像することができるか、擬人化のような人間を基準とした見方とは逆の方法で人間・モノの存在を捉えようとすれば、それは人間と非人間の立ち位置を入れ替えるかも知れない。

担当教員によるコメント

擬人化とは、人間以外のさまざまな物に、人間の性質・特徴を与える比喩の方法である。それは言い換えれば、人間の世界の見え方を、物に付与することでもある。人間を含むすべての動物は、それぞれの種固有の知覚世界の中で生活している。そうした身体的、経験的な環境の全体像のことを、環世界という。古山はこの生物の環世界を、生物以外の物にまで拡張する。私たち自らがデザインした人工物それぞれが固有に持つ環世界の中で、人間とその振る舞いは一体どのように経験されているのか。古山はそれを「擬物化」と呼び、動く物体としてスペキュラティヴに表現した。プリント基板で作られた作品キャプションや作者自身の名刺など、ディテールにまでこだわった作り込みもすばらしい。

教授・久保田 晃弘

  • 作品名
    「☆¿※◉♯」が私を擬物化すると , (読み:なんちゃらかんちゃらがわたしをぎぶつかすると)
  • 作家名
    古山 寧々
  • 作品情報
    インスタレーション
    技法・素材:arduino、サーボモーター、ステッピングモーター、自作基盤、天糸、アクリル、アルミフレーム、木材、ゴム、コンクリート等
    サイズ:可変(H3000×W5000×D7000mm)
  • 学科・専攻・コース