超越エゴイスティック

細川 成美

作者によるコメント

人に言われるままに意思を曲げてばかりじゃないか?誰にも嫌われないようにビクビク生きていないか?誰かのことだけ気遣って、自分のことはないがしろにしてないか?もう少し自分勝手に生きたって社会は案外順調だし、誰かから嫌われたって意外と何ともない。私は良い意味でも悪い意味でもマイペースで適当で自分勝手なところがあり、今回はその思考回路を前面に押し出して作品を作った。気を使ってばかりの人の肩の荷が下りれば幸いです。

担当教員によるコメント

細川と初めて出会ったのは三年次の授業である。しかし、彼女は既に確固たる世界を築き、完成されていて僕に指導する隙をみせない秀逸な学生であった。唯一、言葉(タイポグラフィー)を画面に用いることでより明快なコミュニケーションが生じることを伝えたぐらいであろうか。
日本には誇るべき特異で素晴らしい表現文化が存在する。影のない平面性とか、精緻な宇宙とか、象徴観とか、気配とか、余韻とか。細川の仕事にはそれらが全て存在する。日本人としての独自性を充分に理解しながら少女達をモチーフに抜群のビジュアルを展開し続けた。この緊張感に富む見事な卒業制作もしかり、である。デザインを基盤とするも良、距離をおくも良、枠に囚われることなく兎に角描き続けてもらいたい。そして、表現の巨人になって欲しいと思う。

教授・澤田 泰廣