みんなのまほろば  −都市近郊の住宅街における公共空間−

野尻 勇気

作者によるコメント

敷地は板橋区向原。ここは穏やかな住環境が整っているものの、町の公共空間が減少している。こうした状況に対し、子供の遊び場を中心とした構成と住宅街に対する建築の佇まいを軸に、公共空間を設計した。

担当教員によるコメント

板橋区向原には穏やかな住宅街が広がる。しかし、近年児童館や公民館など公共施設の統廃合が進み、遊び場や住民の交流拠点が失われつつある。この現状を打開すべく、作者は長年住み慣れたこの地域で住民の実態調査に取り組み、問題点と改善案を卒論まとめ、それを基に子供の遊び場を中心とした公共施設を設計した。計画は、公共施設棟が住宅地の一隅に連続する形で配置される。子供から高齢者までが共に利用できるよう、図書館や集会室等の空間が見え隠れしながら繋がっている。子供たちに探検する楽しさやワクワク感を与えてくれるだけでなく、おとなや高齢者たちに同じ空間に身を置く連帯感と活気を生み出している。近隣の佇まいに合わせたスケール感や、木造の屋根の織りなすリズム感が魅力的な建築である。

教授・田淵 諭