温室について

竹久 直樹

担当教員によるコメント

作者は多摩美術大学在籍中の4年間、アナログフィルムを用いた写真を撮影し続けてきた。そんなアナログフィルムにつきまとうのが、フィルム上の「ゴミ」である。それはフィルムに映ったものとは、異なるレイヤー、異なるスケールにある、もうひとつの被写体であり、撮影から現像、そしてデジタルスキャンからプリントアウトというプロセスを想像させてくれるインデックスでもある。さらに作者は、そんなゴミを客体化するために、4年間の自らの写真を分析し、自己シミュレーションによる撮影旅行を敢行する。長らく続いたアナログとデジタルの二項対立の時代を経て、さらにデータ分析や機械学習の技術を経て、今やフィジカル一元論とも呼ぶべき、新しい自己言及の時代が到来しつつある。

教授・久保田 晃弘

  • 作品名
    温室について
  • 作家名
    竹久 直樹
  • 作品情報
    インスタレーション
    技法・素材:ガフィルムのスキャンデータをインクジェットプリント
    サイズ:H5000×W11000×D9000mm
  • 学科・専攻・コース