パワー3, パワー2
田中 晴加
担当教員によるコメント
モビールという形式をとった作品から受けるよくある印象は、ものが吊るしてあるという事実が前景化して、観念的な偏った意味をもち、観る者にとって作品に対する解釈の枠組みが予め決められてしまうことである。それは別の言葉で言えば、作者の作品への思惑が見えすぎてしまうということでもある。しかし、田中晴加の作品からは、そのような印象を感じることはなく、逆に散漫で、作者の思惑が作品を見る度に違うものとして感じられる。それは幼児の何を欲しているのか理解しづらいザッピンク的行動を見ている感覚に近いのである。つまり、全体性というイメージを前提に置くことなく、複数の非意味的なものの断片が接続と切断を繰り返していき、終わりのない生成変化を起こしていく可能性を、田中の作品から感じるのだ。それはまさに、生命の在り方そのものではなかろうか。
准教授・栗原 一成
- 作品名パワー3, パワー2
- 作家名田中 晴加
- 作品情報『 パワー3 』
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:H125×W100×D245cm
『 パワー2 』
素材・技法:ミクストメディア
サイズ:H100×W70×D185cm - 学科・専攻・コース
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