襖 drawing, 点字 drawing –砂の宮殿-
加茂 茜
担当教員によるコメント
加茂の卒業制作のひとつは、襖用の紙に襖用の引き手をいくつか取り付けたものである。「規定の位置から1mmずらせばそれはアートなのか」と本人が言うように、この作品は日常と美術作品の境界を問うものと言える。引き手の位置や個数を変えるだけで、ありきたりな材料を精神性の高い空間表現に昇華させている。もう1点は銅版画と点字をミックスさせた作品だ。この鑑賞方法は、点によって描かれた風景や事物として見ることと、作品の突部に触りながら点字として読むことである。つまりそれぞれ個別に点在する伝達手段や技術を見つめ直し、組み合わせて新たな価値の創出を目指している。加茂は今まで当たり前だと思っていた平凡な事物を違った角度から見直し、人々に世界を再認識するための示唆を与えてくれる。
教授・菊地 武彦
- 作品名襖 drawing, 点字 drawing –砂の宮殿-
- 作家名加茂 茜
- 作品情報『襖 drawing』
素材:襖紙、引手
サイズ:H1700×W810mm(13枚)
『点字 drawing –砂の宮殿-』
素材:版画紙、石膏
サイズ:H410×W290mm(5枚) - 学科・専攻・コース
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