はじまりのpeak2,160
伊藤 加奈子
担当教員によるコメント
綿布の上に分厚い樹脂の層が“山”の形に貼り付いている、シンプルかつ魅力的な作品である。彼女はこれまで試行錯誤の連続だった。細密描写(1年)、テーマを決めての様々な表現(2年)、数々の抽象的表現(3年)などを経て、4年で“山”というモチーフと“樹脂”という素材に出会った。そしてこの出会いが彼女の作風を決定づけた。山の絵と言っても単なる風景描写ではなく、それらはすべて自分が実際に登った山の絵なのだという。視覚だけではなく五感すべてで感じ、味わった後の描写である。そうすると、“体験描写”とでも名付けたくなる。つまり、入学以来の様々な表現の実験も決して迂回路ではなく、着実に一歩一歩表現の山を登っていたのだと言えようか。
教授・野田 裕示
- 作品名はじまりのpeak2,160
- 作家名伊藤 加奈子
- 作品情報技法・素材:ミクストメディア
寸法:H1818×W2273mm - 学科・専攻・コース
- カテゴリー