日のつくる風景
加藤 亜矢子
担当教員によるコメント
写真に「記憶色」というものがある。人は自分の気に入った風景を実際よりも鮮やかに記憶していて、写真にその鮮やかさを期待するのだ。加藤の作品にもこの「記憶色」に似た色彩の横溢がある。そのモチーフはどれも身近な事物で、一つ一つに焦点が当てられることにより遠近感に狂いが生じ、すべて同位置にあるようにも見える。この記憶色と多焦点により、風景は次第に現実から離れ、加藤の作り出す絵画世界に見る者を誘う。では加藤の絵画世界とはどういったものなのか。おそらく人も花も鳥も等価値な、誰そ彼(たそかれ)(黄昏の語源)か分からない世界ではないだろうか。そういえば加藤はよく黄昏時を描く。
加藤は矛盾したものの総体として成り立っている人間の姿を、未分化なままどれも大切にしながら描き出そうと試みている。
教授・菊地 武彦
- 作品名日のつくる風景
- 作家名加藤 亜矢子
- 作品情報技法・素材:油彩、キャンバス
寸法:H2590×W3880mm - 学科・専攻・コース
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