生物模倣による造動研究

恵 一生

作者によるコメント

生物の美しい滑らかな動きを人工的に造り出す研究を行いました。アシカの水中での身のこなしにインスピレーションを得て、その動きを再現する構造体を制作しながら研究を進めました。
連続的な構造体を柔軟性のある素材で繋ぎ合わせ力を加えると、伝動に時間差が生じ波が造り出される事を発見しました。固い構造体でありながら、外力を許容し、やわらかな触感を与えます。楕円を付随させる事で形態が補充され、有機的な印象になります。

担当教員によるコメント

人類が目指す究極のプロダクトデザインは、生物の創造だ。人型ロボットもその一つ。通常ロボットは、間接にアクチュエータを仕込み、それらを個々に制御することで稼動させている。そのため各間接の動きに誤差が生じる。ロボット特有のぎこちない動作はそのためである。恵は、生物らしい動きにはしなやかな連続性があることに注目。生物に見立てた立体の複数の断面形状を柔軟な素材で繋ぎ、外部から刺激を与えると、それぞれの断面形状が連動し波打って稼動することを発見した。その動きはまるで軟体動物のような感触と印象を与える。当研究は、立体を形成するパーツの連続的な反応が生物らしさの創造には必要であることを証明しており、今後のロボット開発に一石を投じるかもしれない。

教授・安次富 隆