日がな一日

福澤 和紗

作者によるコメント

古くから、日本語には「時間」を表す言葉が複数存在している。
電気のない生活を送る人々にとって、空を的確に表現することは大切なことだったのかもしれない。
明け方から翌日の明け方まで、私は「時間」を長方形に囲んだ。
言葉を通せば過去を生きる彼らと同じ空を見上げることができる。

日がな一日の中に美しさは転がっている。

担当教員によるコメント

時間をかけて、少しずつ少しずつ形にしていった。そのプロセスの中にこそ、この作品の真骨頂が潜んでいると。学生時代の制作は、どうしても成果主義的に陥ってしまう。制作する限り成果を求めることは当然だが、ではどこへ向かって、どんな成果を出すべきなのか。そこのところで、どうしても既存の業界であったり、何らかのアピール先であったりを想定してしまうのが常だ。しかし福澤さんは最初からもっと本質的な問題に向き合っていたと思う。空の移ろいがわたしたちに与えている何とも言えない情感。それを捕まえようとしてきた数々の言葉。それをどう扱えばいいのかという問い。展示会場で長い時間ずっと作品の前で眺めている人がいたのだが、その佇まいに成果の質を見た気がした。

教授・佐藤 直樹