開放的な部屋にいる女性たち…である絵画/…侵食する…でない絵画

石井 和哉

作者によるコメント

《開かれた女性たち…である絵画》は、主にラップフィルムを支持体として、ドミニク・アングル(1780-1867)作《グランド・オダリスク》から着想した裸婦像を描いた絵画作品である。この作品は今までの制作活動の中で最も大きなサイズの作品であり、構想・描画・運搬・設置などあらゆる点で手間取り、苦労した。何とか完成まで行き着いたのは、私の拙い説明にも真摯に向き合って助言を下さった先生方のおかげである。
改めて振り返ると、自分には些か手に余るものであったが、挑戦して良かったと思う。制作活動においては実際にやってみないと分からないことが非常に沢山ある。次回作ではこの経験を活かして、より綿密に計画を練り、大規模なものが作れればと思う。

担当教員によるコメント

絵画の様式からどのように逸脱できるか。その姿勢には、権威的なものに対する彼ならではの抵抗を感じる。絵画作品として極めて完成度の高いグランド・オダリスクを敢えてモチーフとして、その平面性に強引に立体感を持ち込む。ペットボトルであってもラップであっても、キャンバスに劣るとは思いたくない。それらを用いることで、自分にとっての描画のあり方を見つけようとしているかのようである。面白いのは素材の扱い方である。それらがそもそもどのようなものであるか、本来どのように扱うべきものであるか、そこはほぼ重視されない。慣れない素材を自分で発見した方法に強引に落とし込む。接合の仕方が過剰であったり逆に危うかったり、細部がとんでもない事になっていたりする。表現に向かうエネルギーが、唯一無二のユニークな作品を生み出す。

教授・髙柳 恵里

  • 作品名
    開放的な部屋にいる女性たち…である絵画/…侵食する…でない絵画
  • 作家名
    石井 和哉
  • 素材・技法
    ラップフィルム、針金、木材、布、ペットボトル、アクリル、油彩など/ラップフィルム、木材、ペットボトル、アクリル
  • サイズ
    2800×5500×1400mm/1600×1600mm
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員