無題/無題

本田 航生

作者によるコメント

光や影などの現象に焦点を当て製作することが多く、実際に観察や取材を行う中で、追っていたはずの光や影が時間や天候など様々なものに影響されて形を変えたり、消えていたり、そのような日常の中に溢れる現象の実体のない曖昧な表情に価値や面白みを感じ、それをきっかけに今回の製作に至りました。

担当教員によるコメント

キャンバス自体が発光しているかのような美しい絵画作品。描かれているのは、壁に映った影のようだが違う。逆光の風景とも違う。奥行きのある影のような、あるいは影と実体の間のような何か。本田さんはそういった中間の存在感を捉えようとしているように思う。写実的な描写を続けるうちに、たえず変化し続ける現実に対して、それをどうやって一つのイメージに結実させるかという問題意識を持つようになった。野外のスケッチで光の現象を描き続けた経験がきっかけだったそうだ。今振り返るとそれは表現を飛躍させる大きな転機だった。表現が違う次元に踏み込んだ瞬間を見逃さず、突き進んだ。この不思議な光る絵は、彼の粘りと集中力から生み出された表現である。

教授・日野 之彦