Entrust Felt

伊藤 桃音

作者によるコメント

工業用フェルトの椅子。
機能性素材の持つ性質を活かし、縫製のみで構造的強度を実現。
座面と可変的な背もたれに身を預けて、強度と柔軟性を兼ね備えたフェルト布地の特性を実感する。
フェルト自体が構造体となることで生まれる独特な感触を提供。
吸湿性・保温性・クッション性に優れたフェルトに包まれ、心地良さを追求できる小空
間。

担当教員によるコメント

椅子のデザインは、間口、奥行き、高さなどを人間工学的に選択していくと、作業椅子から安楽椅子まで一定のデザインアプローチが可能、、、とされているのが現実だとすれば、作者は感覚的な座り心地「包まれる安心感」といったところから発想していった。この感覚というのは日常的に当たり前のことのようで、一般的な椅子のデザイン作法からすると遠回りすることになった。最終的に素材として選択した極厚フェルトのみで構造も持たせることで、感覚を具体化してみせることに成功している。

教授・米谷 ひろし