Peep into tatemae 建前の奥と心の距離

パク ミスン

作者によるコメント

「建前とは何か」「なぜ建前を使い続けているのか」――これらの問いが、私の制作のきっかけ
でした。
20代の日本人8人にインタビューを行い、建前に関する意識や経験などを聞きました。彼らの中
には建前を意識して使う人もいれば、そうでない人もいました。そこで、「建前」についてもっ
と深く掘り下げたいと思い、意識して使う4人の話をもとに、建前の存在を感じられる空間を制作
することにしました。
この空間では、5.5mの板が4列並び、その上には4人のそれぞれの心の距離に合わせて箱が配置さ
れています。箱の上版には建前が切り取られており、覗き込むようにして見ると、そこから彼らの
本音と本音を言わなかった理由を知ることができます。
制作を通して最終的に、建前とは「信頼関係を構築する、または、維持するための言葉のデザイ
ン」であるという答えに至りました。
彼らの建前の奥と心の距離を覗いて見て何を感じましたか?
あなたが思う建前の意味はなんでしょうか?
一緒に考えることができたら嬉しいです。

担当教員によるコメント

日本人はなぜ建前を使うのか?日本人にとって建前とは何なのか?海外から日本に来て生活しているパクミスンにとっての純粋な疑問に端を発する作品である。彼女は、リサーチを含む一連の制作活動を通じて「建前は信頼関係を築いたり維持したりするための言葉のデザインである」とした。日本人的建前を無意識かつ自然に使っているであろう私は、作品鑑賞を通じて「なるほど確かにそうだな」と気付かされたと同時に、心が少し軽くなったのを覚えている。薄暗い展示空間において、Peep(こっそり覗き見る)という言葉を冠したタイトルが付けられているのも良い。なんだか悪いことをしているようでドキドキするのだ。

講師・清水 淳子講師・高見 真平

  • 作品名
    Peep into tatemae 建前の奥と心の距離
  • 作家名
    パク ミスン
  • 素材・技法
    箱=MDF、マット紙、LED、アクリル、水性塗料、粘着剤
    台=MDF、水性塗料、カッティングシート
    足=SPF材
    レーザーカット、木工技法、インクジェット印刷
  • サイズ
    H3600×W4000×D6000mm
  • ジャンル
    インスタレーション
  • 学科・専攻・コース