円が進む
山口 敏生
作品解説
投影の研究作品です。映像の投影作品と、インタラクションの作品によって構成されています。作品1では、複雑な3次元曲面の上に円がスクロールする映像が投影されています。円の曲線とスクリーンの曲面、造形の関係性によって、投影光に柔らかさなどの質感を感じさせることを試みています。作品2では、円の役割を鑑賞者自身が持つスクリーンに委ねることで、インタラクションによって光に質感を感じさせることを試みています。
作者によるコメント
プロジェクションにおける「光の質感」とは何か、という問題に向き合った二年間でした。本作品で「身体性の関与」を含めた新しい質感の知覚体験を提示できたことを嬉しく思います。引き続き何らかの形で研究を続けていけたらと考えています。
担当教員によるコメント
山口は大学院の2年間で、学部で取り組んでいた「光と環境のインタラクション」という問題をさらに発展させ、「動的な環境下での光のインタラクション」によって生まれる、新しい表象を探求するという領域に取り組んだ。
「動的な環境」とは、本作では具体的に、光を投影するスクリーン自体が動いているということと、手でスクリーンを持ち光に差し込むという2つの方法によって実現されている。
そしてこの作品の形態自体が、実際のわたしたちの世界自体がさまざまな光源からの直接光と反射光に取り囲まれており、これらの光を眼球で捉えることによって物の質感や形などの情報を知覚することができるという、日常的な(しかしそれについては無意識な)ふるまいの美しいモデル化になっている。つまり作品体験自体が、このモデルへのアクセスを通じて、わたしたちが世界を理解するプロセスを追体験することで新しい気づきを与えてくれる構造になっているのだ。
山口の作品は、「美しさ」はそれがただ単体で存在しているわけではなく、わたしたちの知覚システムの作用によって、はじめて美しいという認識になるということを教えてくれるものであり、修士の制作研究として極めて高いレベルの達成がなされていることを心から称賛したい。
准教授・菅 俊一
作品動画
- 作品名円が進む
- 作家名山口 敏生
- 素材・技法プロジェクション、3Dプリント、紙
- サイズ作品1=H1900×W300×D800mm/作品2=H1900×W300×D850mm
- ジャンル映像、インスタレーション
- 学科・専攻・コース
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