手でつくるところを、手でつくる。

佐藤 夏穂

作者によるコメント

つくることは常にそばにある存在です。



「つくる」と思わなくても、見え方を変えると「つくる」になることもたくさんあります。そうやって「つくる」瞬間を拾いあげ、まなざすこと、立体化していくことが「つくる」という行為なのではないかと考えます。

誰かが手でつくるところを見なければ「手でつくる」では無かったかもしれないし、私がこれは「手でつくる」だと定義しなげれば、「手でつくる」にならなかったかもしれません。

私が見つけた「手でつくる」瞬間を刺繍で何日もかけて制作し、「手でつくる」に向き合いました。



「つくる」ことはどんな存在なのか。

向き合うきっかけになると嬉しいです。

担当教員によるコメント

「私にとって『手でつくる』とは生きること。生きていくために人はさまざまなものをつくった。食器も家も武器も。『手でつくる』はポジティブだけでなくネガティブな部分も持ち合わせている。『手でつくる』は花を咲かせることも、意図せず枯らすこともできる。」作者の佐藤が前期審査会で書いた文章の抜粋である。彼女は最初からこのテーマに向き合い、深く考え抜いて制作を続けてきた。その覚悟が感じられる文章でもある。それは「刺繍」という手法にも現れた。一見シンプルなイラストレーションのように見える作品は、すべて彼女の「手刺繍」によって作られている。見る者はそれを知った時にその熱量に圧倒される。一針一針に彼女の想いがこもった卒業研究制作が完成した。

教授・宮崎 光弘

  • 作品名
    手でつくるところを、手でつくる。
  • 作家名
    佐藤 夏穂
  • 素材・技法
    布(ツイル生地)、刺繍糸、トレーシングペーパー、複写紙、ハガキ用紙、木材、テグス、Illustrator、Photoshop、Procreate
  • サイズ
    刺繍作品サイズ=H300×W260mm
    刺繍作品タイトル=H900×W260mm
    展示サイズ=H2300×W1300×D2700mm
  • ジャンル
    刺繍
  • 学科・専攻・コース