座・大相撲
江藤 紀久子
作者によるコメント
それまで声援や談笑などでざわついていた館内は時間いっぱい、立ち合いの瞬間静まり返り、力士のぶつかりとともに、再び大きな歓声に包まれる。
広い空間の中で立っているのは土俵上の力士とそれを合わせる行司の3人だけ。その一瞬、大勢の人は座っている状態にある。多種多様な座り方の共通点は「座る者の意識がすべて土俵に向いている」ということだ。
改めて考えたとき、あたりまえに思っていたその光景が異様なものに見えてきた。同時に大相撲が持つ、ただのスポーツではない、神事・興行・伝統文化などの独特の面白さを感じた。それらをスケール感はそのままに日常の中に持ち込んだとき、新たな発見があるのではないか。
実験的座具が今ここに誕生した。
担当教員によるコメント
力士、行司、呼出、観客、そしてTVの前の視聴者が繰り広げる、大相撲における「座る」という行為に着目して、独自の解釈から生まれた座具(ざぐ/座るための道具)のシリーズ。
熱心な好角家(こうかくか/大相撲のファン)である江藤が、神事であり興行でありスポーツでもある、曖昧模糊とした多面性を持つ大相撲の様式や歴史的・文化的な文脈を踏まえながらも、ポップでユニークな世界を作りだしており、1980年代のデザイン運動「メンフィス」の視座を彷彿とさせる。
准教授・橋本 潤
- 作品名座・大相撲
- 作家名江藤 紀久子
- 素材・技法素材=ポリエステル・ポリエチレン・アクリル・ 綿・混綿わた・発泡スチロール・合成皮革・ウレタンチップスポンジ・高弾性ウレタンスポンジ・プラスチック・鉄・スチール・合金・ナイロン
- サイズHikae(画像2枚目)=H200mm×W880mm×D920mm/Yobidashi(画像4枚目)=H300mm×W220mm×D300mm(2点)/Tamari(画像6枚目)=H100mm×W550mm×D590mm(3点)/Masu(画像8枚目)=H500mm×W1300mm×D1300mm/TV-Sajiki(画像10枚目)=H100mm×W550mm×D550mm
- ジャンル家具
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