intertwine

古賀 日向子

作者によるコメント

穴があると思わず覗きたくなる。
近づくと終わりも始まりもない円の空間が広がる。
時の流れが止まったようで、人々が自然に交わり合う。
フェルトを細かく加工し、この形の下の部分を1mmずつ長くした40種類の形のピースを組み合わせることで、その空間に動きを生み出しながら、空間を仕切る。

外との境界線を越えることで、自然に共感が生まれる。それは対話を促進させ、同時に個々の存在を尊重し、一人ひとりがその空間の一部となる。物理的な距離を越えてつながりを生む場であり、日常の中では気づかないような「距離」や「つながり」を感じるきっかけとなる。
そのフェルトの持つ独特な存在感が、静かに、しかし確実に人を包み込む。

担当教員によるコメント

「人間観察」が好きなところを入り口にエスキースは始まった。人と目線が合うこと、いわゆるアイコンタクトは特別な意味があることが多い。それ故に、目線が合ってしまうと、人間観察は終わってしまうように思う。そこで目線が合うようで合わないあいまいな状態、もしくは積極的に目線が合ってしまう状況は何かを想像していった。穴が開いていると覗き込んでみたくなる衝動があるとすれば、穴だらけの空間、仕切りや囲みをシンプルに立ち上げられないかというのが作品の本題となっていった。

教授・米谷 ひろし