砂場の再考 -ひとびとのよりどころ-
岡本 愛加
作者によるコメント
ひとりであることを受け入れてくれ、自分が自分であることをたらしめる。それが私にとっての心のよりどころである。幼い頃みんなで遊ぶことを強いられる状況の中、ひとりを受け入れてくれる居場所が公園の砂場であった。残念ながら現在砂場は人気がないとされ、手を加えられていない。そこで1年間50を超える砂場を観察しながら、多種多様な評価に向き合い、これからの砂場の在り方を考えた。誰でも訪れられる地域の砂場を考え直し、手を加えていくことで未来のひとびとの心はほくほくと温められていくことだろう。複雑な感情を優しく受け入れるよりどころが、この先ずっと守られていってほしいと思う。
担当教員によるコメント
一見すると、やわらかな曲線を描いた縁取りの砂場の造形を考えたほのぼのした作品だ、四角いのはつまらないと考えたのかと誤解する人もいるだろう。もっと他のかたちも考えればよかったのに、というアドバイスすら聞こえてきそうだ。実際は、社会の中で、砂場が果たす役割について、人々の振る舞いから仮説構築し、知見を深め、検証を重ねて、ひとつの貴重な解として「中央に配する立体物の存在」を導き出したという作品である。(写真では樹木や腰掛けくらいの丸太)誰もが地域の公園に合わせてよりどころとしての砂場を考案できるだろう。人々の思いと社会をつなぐデザインは重要性を増している。作者の動機を他に応用がきく具体的な要件にまで磨き上げたことを高く評価した。
教授・大橋 由三子
- 作品名砂場の再考 -ひとびとのよりどころ-
- 作家名岡本 愛加
- 素材・技法素材=ジェスモナイト、スタイロフォーム、ベニヤ板、砂、土
- サイズH300×W3000×D3000mm
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員