ARKtist 森の撮影スタジオ

南川 諒太郎

作者によるコメント

植物を見るとき、大まかに俯瞰で見ることが多いと感じる。そこで植物一つひとつにフォーカスすること。光を吸収する黒背景を用いて植物を撮影することで、被写体を道端のファッションモデルのように際立たせる。今まで我々が気づくことのなかった彼らの美しい姿を目にすることができるだろう。現代では検索をすれば、いくらでも植物の美しい画像等にアクセスすることができる。そんな時代にこそ、自分で自然の中に足を運んで、自らの目でリアルを体感することの美しさを感じてほしいという願いを込めている。また、キャンプや泊まりがけの登山などで山や森などに足を運んだ際に、一晩や二晩置いて夜の自然の動きをタイムラプスで記録する。我々人間が関与していない瞬間の植物の姿、昆虫と植物との関わり等をカメラに抑えることができたら、自然は生きているのだと改めて感じることができるだろう。身近には小さな宇宙が広がっていることを伝えたい。

担当教員によるコメント

身近な自然の中にも驚くような生命の営みがある。誰も見たことのない小さな昆虫や植物たちの振る舞いを素敵な写真に収めたいという想いでARKtistはデザインされている。観察場所を決め、ひたすら奇跡の瞬間を待ち続けることは容易ではない。南川さんは動体検知センサーやAI、超小型高感度カメラ、カーボンファイバーなどのハイテク技術や素材の知識を駆使しながら、誰でも気軽に質の高い写真を撮影できるプロダクトデザインを追求した。アシナガグモをモチーフとしてデザインされた本体は、理にかなった構造と機能を有しており今にも動き出しそうなロボットのようにも見える。近い将来、ARKtistが独自に自然の中を移動しクモの巣の代わりにスクリーンを張り感動的な一瞬を捉えようと待ち構える日が来るかもしれない。

教授・安次富 隆