観察道具の探求

太田 隆之介

作者によるコメント

サイズが異なる2枚のレンズを用いた観察道具。両手で覗き込むように持ち、レンズを自由に動かし拡大することでより観察に没入できる。ただ観るためだけの道具であるからこそ、ひたすら検証を重ね、機能を頼り過ぎずに自分の感覚や美意識で造形を整えた。自然から離れている現代だからこそ、自ら自然に近づくきっかけとなるような道具を目指した。

担当教員によるコメント

自然を観察する行為は、地球環境に起きている変化や、生物多様性に対する人々の関心を高めるためにも、社会の中でより注目を集めるべき行為だろう。太田隆之介さんのデザインした「観察道具」は、手に取りたくなる造形の魅力、そして触れた際の心地良い手応えを備えることで、人々の「観察してみたい」という気持ちを呼び起こしている。サイズの違う2枚のレンズを上下に埋め込み、焦点距離の調節を測りながら、虫自体を詳細に観察する目的は勿論のこと、広い視野を確保することで、虫の周りの環境を観察することまでが考えられてデザインされている。彼の道具づくりのアプローチからは、虫眼鏡のようなシンプルな道具でも、まだまだその魅力を創出していけることが読み取れる。

教授・濱田 芳治

  • 作品名
    観察道具の探求
  • 作家名
    太田 隆之介
  • 素材・技法
    素材=PLA、光学レンズ、ラッカースプレー/技法=3Dプリント
  • サイズ
    H100×W160×D135mm
  • ジャンル
    道具のデザイン
  • その他作品情報
    光学レンズ提供:株式会社SIGMA様
  • 学科・専攻・コース
  • 担当教員