Kure

梶原 大輔

作者によるコメント

藁を縛ることのみで構成された座る機能を持ったオブジェクト。一度縛りきった後に解くことで強度を保ちながらも藁の素朴な魅力を引き出し、素材と技法の関係性を問い直す。解かれた束の痕跡は稲穂に風が吹いたかのような柔らかさを感じさせる。

担当教員によるコメント

「素材らしさ」梶原大輔さんが最後に掴んだ答えだと思います。
当初は伝統的な編みや箒の製造方法のリサーチから始まり、単一素材でも工夫でさまざまな表現や構造が作れることに魅力を感じて始めた研究でしたが強度確保や構造、精度などクリアすべき要件に応えようとすればするほど自身のイメージと離れていくことに悩む時期もありました。
結果、彼自身が問い直したのが、素材自身が持つ表情やの有り様を尊重することでした。さまざまな加工技術を加えればどのような形にも変形することが可能ですが、素材本来の持ち味や表情を尊重することで生まれる表現もありますし、環境問題を背景としたこれからのモノづくりで大切になる観点だと考えます。
卒業制作を通して掴んだ素材との向き合い方を大切に今後の活躍を期待しています。

准教授・尾形 達