通り雨の短辺
篠崎 仁織子
作者によるコメント
四年間の制作活動の中で、「パーソナルさ」というものを無意識のうちに思考し続けていたと思います。誰かのパーソナルなこと、自分だけのこと、誰のものでもないけれど皆が思い当たること、それぞれがもつパーソナル「なのかもしれない」こと。この作品は、雨雲とその上から降り注ぐ雨から着想を得て制作しました。それと同時に雨が上がりかけて差し込んできた太陽の光のようにも感じられます。
また、見る人によっては雨でも光でもない、また全く異なるイメージを抱くかもしれません。本当のところは、私が形にしたものは何だったのかあまり確証は持てません。それでもその様にして、それぞれのパーソナル「なのかもしれない」ものへと形を置き換えながら、いつかふと立ち止まったときに何かについて思い出す機会へ繋がっていけば嬉しいです。
担当教員によるコメント
三層に連なる石板の縁をなぞるように金色の鈴が、微かな音色を響かせながらゆっくりと巡っている。ただそれだけである。いやそれだけで良いのだ。古より人は微かな音色を自らの人生と重ねて合わせては愛でてきた。葉擦れ、せせらぎ、潮騒、虫の音、雨垂れ、、、、。 また風鈴や鹿おどしなども自然の営みを巧みに利用した風雅な嗜みと言えよう。作者は石の持つ温かみと鈴の音色という自然と、鋼鉄の冷めた構築やモーターを用いた回転装置の人工的な無機質さを融合させて、観る者の記憶の引き出しをクールな演出で開けようとする試みである。物言わぬ佇まいが結界の番人のようで、鈴の音に誘われて異界へと迷い込んでしまいそうだ。
教授・水上 嘉久
- 作品名通り雨の短辺
- 作家名篠崎 仁織子
- 素材・技法石、鉄、真鍮、鈴
- サイズ2800×1000×1000mm
- 学科・専攻・コース
- カテゴリー
- 担当教員
